『攻殻機動隊』は士郎正宗さんによる漫画作品を原作として、複数の有名アニメーターによりテレビ・映画に派生した作品群です。
士郎正宗さんによる原作漫画は、1989年に執筆されたものですが、今読んでも斬新で新鮮なSF作品で、全く時代を感じさせません。
各監督によるアニメ作品もその核となる世界観を継承していて、テーマも深く最高に面白いです。
今まで見たことがない方も、2020年配信の「攻殻機動隊 SAC_2045」放送までに是非、攻殻機動隊シリーズを見てもらいたいです!
ということで悩んでいる方もきっと多いでしょう。
そこで今日は、はじめて攻殻機動隊シリーズを見る方に、攻殻機動隊の見る順番を分かりやすくご紹介します。
攻殻機動隊は監督ごとに別作品として切り離して考えよう
アニメーション化された攻殻機動隊は大きく分けて3つあります。
①押井守 監督作品群(映画版 攻殻機動隊シリーズ)
②神山健治 監督作品群(テレビ版 SACシリーズ)
③黄瀬和哉 監督作品群(映画版 ARISEシリーズ)
すべて士郎正宗さんによる漫画『攻殻機動隊』を原作とした作品ですが、各監督によって時代設定・キャラクター設定・ストーリーがそれぞれ異なります。
ですのでこれらの3つは全く別作品のシリーズ、として切り離して考え、それぞれの監督作品ごとの公開年順に見るのが正解です。
押井守 監督作品群
押井守版攻殻機動隊シリーズ。
1995年 | GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊 |
2004年 | イノセンス |
*2008年 | GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊2.0(リメイク版) |
アニメーションでの攻殻機動隊のすべての原点となる作品群で映画作品です。
わたしはこの押井守監督の「GHOST IN THE SHELL」で攻殻機動隊の世界観にドはまりしました。
全体的に哲学的で、美しく、暗い雰囲気が漂う映画になっていて、かなり大人向けなアニメーション作品と言えるでしょう。
またCG映像や音響などにもかなりこだわりを持って作られていて、特に『イノセンス』でのパレードの映像の美しさは圧巻ものです。
2008年公開の『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊2.0(リメイク版)』は1995年作品をCG映像を中心にリメイクしたものになり、内容は1995年作品と同じとなります。
そのため、押井守監督作品としては1995年公開『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』と2004年公開『イノセンス』の2作品と考えてください。
神山健治 監督作品群
神山健治版攻殻機動隊シリーズ。
2002年 | 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX |
2004年 | 攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG |
2006年 | 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society |
*2005年 | 攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX The Laughing Man ※総集編 |
*2006年 | 攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX Individual Eleven ※総集編 |
いわゆる「SAC」シリーズと言われるもので、一番人気があるシリーズと言えるでしょう。
わたしもこのSACシリーズが一番のお気に入りで、神山監督の世界観が最高です。
押井守版攻殻機動隊では描かれなかった、主人公・草薙素子が所属する公安9課の他のメンバーの特色が深堀りされ、それぞれにまつわるエピソードが描かれています。
神山監督作品の特徴は、かなりスタイリッシュで躍動的なアクションと各キャラクターの造形、そして菅野よう子による劇中の音楽です。
また、きれいでかつ万人に受け入れられる作画も魅力的です。
社会・政治・医療問題などが各ストーリーの根底にあり、テーマとしては深いですが、派手なアクションやタチコマのポップさなどにより、「テレビアニメ」としても娯楽性の高いシリーズと言えます。
『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』および『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』はそれぞれテレビアニメシリーズで各26話で構成されています。
。
続く『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society』は長編アニメで1話のみとなります。
・『攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX The Laughing Man』
・『攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX Individual Eleve』
この2つは各テレビアニメシリーズの総集編となるため、シリーズから外して問題ありません。
ですので、神山健治監督作品としては攻殻機動隊SAC第一シリーズ26話、SAC第二シリーズ26話と、SAC S.S.S1話の3作品と考えてください。
黄瀬和哉 監督作品群
黄瀬和哉版攻殻機動隊シリーズ。
2013年6月 | 攻殻機動隊ARISE broder:1 Ghost Pain |
2013年12月 | 攻殻機動隊ARISE broder:2 Ghost Whispers |
2014年6月 | 攻殻機動隊ARISE border:3 Ghost Tears |
2014年9月 | 攻殻機動隊ARISE broder:4 Ghost Stands Alone |
2015年4月 | PYROPHORIC CULT |
2015年6月 | 攻殻機動隊 新劇場版 |
いわゆる「ARISE」シリーズと言われるもので、公安9課が設立される以前から設立直後までを描いた作品群ですべて劇場公開されたのちテレビでも放映されました。
黄瀬監督シリーズの特徴は、公安9課設立前を描いているということで、他の監督作品や原作漫画と比べて主人公である草薙素子をはじめ、公安9課のメンバーの年齢設定自体が若い設定になっている点です。
また、キャラクターのデザインだけでなく、各キャラクターを演じる声優陣も変更され、今までとはまったく新しい作品となっています。
ストーリーとしては、軍の機関やテロ、要職者暗殺、などを扱っており少し内容が難しいかなと感じる部分もあります。
テレビアニメとしての作品ではなく、劇場公開のアニメーションとして制作されたため、万人受けする分かりやすい作品とは言い難いかもしれまん。
ですがそのため、意味が分かるまで何度回も見たくなるのも確かです。
総集編やリメイク版はなく、6作品すべて独立した作品となっています。
はじめて攻殻機動隊を見るならどの作品群からがベストか?
基本的には各監督作品群を年代順に見れば、3シリーズどこから見ても問題ないです。
個人的には押井守監督の映画『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』で「攻殻機動隊」の世界観にガツンとやられたので映画から…といいたいところです。
が、はじめての人にも一番とっつきやすく、見やすい、ということで考えると神山健治監督作品のテレビアニメシリーズから!と断言できます。
ですので、
①神山健治監督 SACシリーズを公開年順に
↓
②押井 守監督 映画版シリーズを公開年順に
↓
③黄瀬和哉監督 ARISEシリーズを公開年順に
の順番でみることがおすすめです。
登場人物たちの年齢や、時代背景順に追っていくと、ARISE→SAC→映画版 となるのですが、これはおすすめできません。
最初に言ったように各監督の作品群ごとに関係性はなく、独立した別作品として見るのが正解なので、アニメの中の年代は無視してOKです。
わたしがおすすめする順番に攻殻機動隊シリーズを見ることで、
①面白さが分かりやすく娯楽性の高いSACシリーズで攻殻機動隊の世界観にハマる
②世界観や独特の言語(義体化、電脳ハック、ゴースト)を理解したうえで映画版を見ることで、哲学的で難解な映画版シリーズの理解がより深まる
③「公安9課」設立前のまだ若さが残る各キャラクターたちの活躍をARISEシリーズで楽しめる
というふうに攻殻機動隊の世界にどっぷりハマることができるでしょう。
まとめ
・攻殻機動隊は監督ごとに別作品!3シリーズに区分できる
・各監督作品の公開順に見るのが正解!シリーズの公開順に注意
・はじめての人にオススメはSACシリーズ!神山監督→押井監督→黄瀬監督の順で
「攻殻機動隊」と名前のつくアニメ作品をトータルで考えるとたくさんあるので「どれから見ればいいの!?」と悩んでしまいますね。
ですが、各監督作品シリーズごとに別と考えると3種類だけ。そう考えると一気に敷居が低くなったのではないでしょうか。
そしてなんと!2020年にはProduction I.Gによる『攻殻機動隊 SAC_2045』がNetflixにて全世界独占配信されることも決定しました。
今回も監督は神山健治さん、ということでシリーズの中でもSACの大ファンのわたしにとってはもうめちゃくちゃ嬉しいニュースです!
攻殻機動隊最新作『攻殻機動隊 SAC_2045』の配信放送まであと少し。
この機会に過去の攻殻機動隊シリーズを見て攻殻の世界観を堪能し、配信放送の日を楽しみに待ちましょう!