ドイツに起源を持つシュトーレンが長持ちするその理由についてご存じですか?
シュトーレンは、冷蔵技術がなかった古い時代から、クリスマスの4週間前から徐々にスライスして楽しむ伝統的なデザートブレッドです。
そのため、その保存力を高めるための特別な工夫が施されています。
この機会に、シュトーレンがどのようにして長持ちするのか、また最適な消費期限や保管のアドバイスについてお話ししましょう。
Contents
シュトーレンが日持ちする理由

サワー種で生地を作っている
シュトーレンは小麦粉ではなく、サワー種というパン種を使って生地を作ります。
サワー種とは、小麦やライ麦粉と水を混ぜて作った生地に、乳酸菌と酵母など複数の微生物を共培養させた伝統的なパン粉で、密度が高くずっしりとした食感に焼きあがります。
さらに、サワー種に含まれる菌は腐敗やカビに強いので、それがシュトーレンの日持ちが長い理由の一つになっています。
保水性と日持ち
シュトーレンの長期保存性の秘訣は、小麦粉の総量に対する水分の含有率を25%以下に維持するルールにあります。
この基準を超えないよう、焼く時間を長めに設定し、表面の余分な水分を除去しています。
このように水分を制限することで、カビの繁殖を制御し、食品の劣化を阻止する効果が得られます。
この水分制限にもかかわらず、乾燥感のない、しっかりとした食感を持つ理由は、サワー種の特性によるものです。これがサワー種の独特な魅力とも言えるでしょう。
果物と木の実の組み合わせ
シュトーレンが長持ちする背景には、全体の小麦粉の量に対し、70%以上の乾燥果物と、最低でも10%の木の実を混ぜ入れるというルールが存在します。
乾燥果物や木の実は、基本的に低水分であり、カビや腐敗のリスクを低減させる性質があります。
更に加えて、乾燥果物をラム酒に浸すことで、アルコールの抗菌作用を活かし、カビの増殖を更に制御することができます。
アルコール浸漬
シュトーレンの持続性を高めるための乾燥果物は、長時間アルコールに浸けておく方法を採用しています。
このアプローチにより、シュトーレン内の微生物の成長を有効に抑え込むことが可能です。
バターの役割
シュトーレンの保存性を高めるための秘訣は、全小麦粉の量に対して、バターを30%以上混ぜ込むことに関連しています。
生地に混ぜられたバター以外にも、焼成後に溶けたバターを何度も表面に塗布します。この方法により、生地の外層がバターで保護され、空気中の細菌の侵入をブロックすることが可能となります。
砂糖のコーティング
シュトーレンが外部のバターの層を持っているとはいえ、その酸化を予防するために、潤沢な粉糖でさらなる保護を施します。
シュトーレンの持続性を確保する要因は「糖の守り」というテクニックによるもので、ジャムのような長期保存性を生み出し、食品をカビや劣化から保護する役割があります。
さらに、砂糖は水分を吸収する性質を持っています。
シュトーレンが一定の時間経過した後、表面の粉糖が透明に変化することがありますが、これは砂糖が水分を取り込んだ証拠とも解釈されます。
シュトーレンの保存期間は?

一般的なシュトーレンの消費期限
シュトーレンの通常の消費期限は約1~3ヶ月とされています。
このドイツの伝統的なクリスマスのデリケーシーは、1939年からの歴史を持ち、冷蔵技術のない時代に、長持ちするように様々な調整が施されてきました。
それゆえ、それは長い期間保存可能な食品となっています。
伝統的なドイツの製法を忠実に再現したシュトーレンの場合、最低でも3ヶ月の保存が可能です。
市場で見かけるシュトーレンは、焼き上がった直後ではなく、完成してから約1ヶ月間熟成された後、1~2ヶ月の消費期限で出荷される傾向があります。
シュトーレンは焼成後、1ヶ月の熟成を経て、次の1ヶ月の間にじわじわと味わわれるのが一般的です。この方法で楽しめば、品質上の問題は起こらないはずです。
しかしながら、シュトーレンの保存性は製法だけでなく、使用する材料や焼き加減、さらに保存手段によっても大きく影響を受けます。
したがって、市販されているシュトーレンを購入する際は、パッケージに明記されている消費期限を基準にすることが最善です。
自家製シュトーレンの消費期限について
市場に出ているドイツスタイルのシュトーレンは、厳格な基準に従って作られているため信頼が置けます。しかし、家で作られたシュトーレンはどれくらいの期間保存できるのでしょうか?
多くの方が、家庭製であっても時間をかけて楽しみたいと考えるかもしれませんが、それはそう簡単ではありません。
確かに、店舗のものと同じ厳格な製法を適用すれば、一定期間は持続するでしょう。
しかし、家庭の環境や専門家の技術を再現するのは難しい面もあります。
例えば、バターの使用量や方法、さらにはドライフルーツをリキュールで処理するステップなど、家庭環境では難易度が上がります。
もし、お店での製法を完全に再現した場合、約1ヶ月間は保存が可能ですが、微生物の混入のリスクがあるため、開封後は2週間以内に食べることを推奨します。
したがって、伝統的なドイツの味を長く楽しみたい方は、専門店での購入を考慮すると良いでしょう。
ポイント!
- ドイツの伝統的な製法に基づくシュトーレンは、約2~3ヶ月の保存が可能。
- 購入したシュトーレンについては、パッケージの消費期限を要確認。※4週間程度が多め。
- 自分で作ったシュトーレンの場合、おおよそ2週間を保存の基準として考える。
シュトーレンの保存について…長く保存させるための正しい保存法って?

シュトーレンの適切なカット方法
適切にカットすることで、外部の雑菌の侵入を最小限に抑え、乾燥からも守ることができます。
まず、中央部分で2つの部分に分割し、その後左右の方向へと好みの大きさで切り分けてください。
食事を終えた後のシュトーレンは、断面同士をしっかりと合わせ、クリングフィルム等できっちり包むよう心がけましょう。
切断面が空気に触れると、その部分の品質が落ちてしまうこともあります。
シュトーレンの鮮度を維持しながら、長持ちさせるためには、中央で一度分割した後、両側の断面をしっかりと合わせ、空気の接触を最小限にすることが重要です。
クリングフィルムは、通常よりも少し大きめに2枚切り、1つは上から、もう1つは下から巻くことで、シュトーレンを外部環境の影響からしっかりと保護し、長期保存を実現します。
シュトーレンの保管先について
室温での保存方法
シュトーレンを長持ちさせるための理想的な保管場所は、「湿度の低い涼しいエリア」および「暖房の影響を受けにくい場所」です。
保管に適した温度としては、10~15℃の範囲が、味の成熟とその濃厚さを増進させるのに最適な条件と言えるでしょう。
冬の間は、湿度の低さと涼しい場所を見つけるのは簡単ですが、暖房の影響には注意が求められます。
冷蔵保存について
意外に思えるかもしれませんが、シュトーレンを長期保存するには冷蔵庫はおすすめできません。
確かに、冷蔵庫で保管することで、バターの酸化を抑制し、日持ちを良くする効果があるものの、長期間冷蔵庫で保存することにより、パンの生地が硬化することや、他の食品からの臭い移りが発生し、シュトーレン独特の香りや風味が低下するリスクが高まります。
シュトーレンは元々長持ちする設計が施されているので、必ずしも冷蔵庫での保存は必要ないのです。
しかしながら、賞味期限が近づいている場合は、風味の低下を承知の上で、冷蔵庫での保存を検討することも考慮されるでしょう。
冷凍での保管方法
シュトーレンは冷凍も適しており、もし賞味期限が迫っている場合、スライスしてから冷凍庫に保存すると良いでしょう。
冷凍により微生物の増殖も抑えられるため、長期間の保存にも安心です。
食べる際は、冷凍状態から取り出して室温で自然に解凍させるか、トースターや電子レンジを使用して暖めてからお楽しみください。
シュトーレンの品質が落ちているサインは?

おもに以下の4つの状態が見られる場合は、賞味期限内であっても傷んでいる証拠です。
・カビの発生
・虫の存在
・特有の異なる匂い
・色の変化
シュトーレンは通常、保存が利く食品ですが、適切な保管環境が保たれないと品質が低下することも。
上述のような兆候が一つでも見受けられた際には、消費を避け、適切に廃棄してください。
外側にまぶされている砂糖がクリアに変わり始めたら、水分が多くなってきて、そのシュトーレンが変質し始めている兆候かもしれません。
このような場合、シュトーレンの状態を確かめ、早めに完食することを推奨します。
シュトーレンのおいしい食べ方の提案
シュトーレンの長持ちする方法を前に紹介しましたが、今回はその味わい深いシュトーレンを如何に楽しむかをご案内いたします。
シンプルに味わう
シュトーレンの王道的な食べ方は、シンプルに薄切りにして味わうことです。
ドイツの古くからの伝統に従って、クリスマスの1ヶ月前から日々ちょっとずつ楽しみながら食べることで、熟成の深まりを感じるのは格別です。
ただ、その絶品の味わいに我を忘れて、一気に食べ進めてしまう方も少なくないようです。
多様なアプローチで味わう
トーストしてシュトーレンを温かくしたり、電子レンジで短時間加熱するのも一つの方法です。
シュトーレンの表面にまぶされている砂糖が焦げないように、トーストする際の火加減に注意しましょう。
ソフトな生地感を求める方には特におすすめです。
さらに、生クリームやクリームチーズ、蜜を追加して、多彩なテイストを楽しんでみてはいかがでしょうか。
まとめ
シュトーレンの長持ちの秘訣と適切な保管方法を紹介しました。
シュトーレンの魅力の一つは、時間が経つほどに深まる風味で、その特性を最大限に活かすための様々な工夫が施されています。当然、そのための保管環境や手段も欠かせません。
理想的には、古くからの伝統に則り、シュトーレンを保存し、クリスマスまでの1ヶ月前から熟成の変化を感じつつ楽しむのが最高ですね。
店舗でシュトーレンを購入する方や、自宅で作る方も、今回の情報を活かして、シュトーレンの美味しさを最大限に引き出して楽しんでください!